時間と Count の関係
Count は一点のデータだけで決まりますが時間は一点のデータだけでは決まらず複数個のデータが必要です。固定点 A の Count (a_NA) が 1 ずつ増加するのに対して、移動する点 P の Count (a_NP) は増加するときと増加しない時が不規則に生じます。これは点 P が移動する時、その Count が増えないことによります。このため、点 P の時間は 不規則な変化をしますが、点 P が等速運動をしている場合はその速度を用いて点 P の時間を知ることができます。この時間を p_t とします。
一方、固定点の時間は距離に関係なく同じになります。例えば点A と点 B の時間の進み方は同じです。これは情報が瞬時に伝達されるからです。
移動する点の時間
点 A から B へ移動する点 P の時間を調べます。時間は Count の積み重ねになるので時間を Count を用いて調べます。点 A を原点とする Count を次に示します。
a_NA = a_NP + a_MP 再掲 式 (4-1)
点 A と点 B と点 P の関係を明確にするために
a_NA → a_NA.B 点 P が点 B に来た時の点 B (及び点 A) の Count
a_NP → a_NP.B 点 B (及び点 A) から見た点 p の Count
a_MP → a_MP.B 点 B (及び点 A) から見た点 P の移動した Tenho の数
と表示すると
a_NA.B = a_NP.B + a_MP.B
一方、移動する点 P を原点とする時、点 P がその原点である P から離れることはないので点 Pにとっては移動した Tenho の数は存在しません。移動している点 P の Count も変化しません。点 A から見ると点 P が移動しているときの Count (即ち時間)が消滅するのです。この消滅した点 P の Count を p_MN.P 、点 P が点 B に到着するまでに消滅した Count を p_MN.P.B とします。原点を P とするときの点 P の Count を p_NP とします。
ここで注意が必要なのは、a_NA.B ≠ p_NP.B + p_MN.P.B です。理由は点 P が Count を増やしていくとき p_NP.B は存在するが p_MN.P.B は存在しないからです。点 P が移動しているときは逆に p_MN.P.B が存在し p_NP.B は存在しません。
p_NP.B と p_MN.P.B は排他的な関係になります。
p_MN.Pは点 A から見ると点 P が移動した Tenho の数に相当しますが a_MP と同じではありません。点 P が移動を止めて Tenho 上に滞在する時、 a_MP はそこまで移動した距離に相当する a_MP が存在しますが、 p_MN.P は消滅するので存在しません。
p_NP と p_MN.P は点 P の不規則な移動によって生じるので数式を用いて求めることができません。しかし、点 P が等速運動をしているとき p_MN.P.B を距離 a_dA..B と 時間 a_t.B から求めることができます。
移動する点が失った Count を求める
点 P が点 B まで移動したときに消滅する Count は p_MN.P.B です。これを点 A から見ると点 P が移動した Tenho の数になります。 p_MN.P.B を m とし、点 P の Count 数 p_NP.B を k とします。
点 P が等速運動をしているとしてその速度 a_v.APと時間 a_t.B を用いて距離 a_dA..B を求めます。
a_dA..B = a_t.B × a_v.AP
距離 a_dA..B から求める Tenho の数が m になります。
∴ m = a_t.B × a_v.AP × Cs 式 (5 -1)
点 P が点 B に到着した時の点 A の Count 数を n とすると
n = a_NA.B = a_t.B × Ct
点 P が点 B を通過するとき、点 P が移動した Tenho の数は m であり、通過しないで滞在する時の p_MN.P.B は存在しないので m = 0 です。これでは m の値が決まりません。しかし、点 P が B を通過するのは n 回毎に m 回ですからこれを p_MN.P.B' とし、式 (5 -2) に示します。
p_MN.P.B' = m × (m/n) 式 (5 -2)
移動する点の Count を求める
点 P が点 A から B へ移動する時 P の Count が k になったとします。点 P が B に滞在するのは n 回毎に k 回ですからこれを p_NP.B' とし式 (5 -3) に示します。
p_NP.B' = k × (k/n) 式 (5 -3)
この p_NP.B' と p_MP.B' の和が n になるので
n = k × (k/n) + m × (m/n) 式 (5 -4)
整理すると
n^2 = k^2 + m^2
になります。
ここで、n = a_NA.B = a_t.B × Ct 、 k = p_NP.B = p_t × Ct および式 (5-1) を用いると
(a_t.B × Ct)^2 = ( p_t × Ct)^2 + (a_t.B × a_v.AP × Cs)^2
整理すると
( p_t × Ct)^2 = (a_t.B × Ct)^2 - (a_t.B × a_v.AP × Cs)^2
= (a_t.B × Ct)^2 (1 - (a_v.AP × Cs/Ct)^2)
両辺を Ct^2 で割り、Co = Ct/Cs を用いる。
a_t.B は点 P が点 B に到着した時の点 A の時間であり a_t.B = a_t である。故に
p_t = a_t × √(1 - (a_v.AP/Co)^2) 式 (5 -5)
となり時間のローレンツ短縮の式 (5 - 6)と一致します。
ローレンツ短縮の式が示す速度と時間の関係
第3話に示したローレンツ短縮の式(3-1) を下記に再掲します。root( ) を √( ) と表示します。
t' = t × √(1 - (v/c)^2)
c: 光速, v: 点Pの速度, t: 点Aの時間, t': 点Pの時間
説明をわかり易くするために記号を次のように置き換えます。
t を a_t , t' を p_t, v を a_v.AP, c をCo とすると
ローレンツ短縮の式は
p_t = a_t × √(1 - (a_v.AP/Co)^2) 式(5 - 6)
となります。
修正記録
2024-12-23: 記号を統一するために見直した。詳細は第4話参照
2024-11-30: 記号の使い方を確認し細かい点で修正しました。
2024-10-31: 説明の仕方を再度変更しました。
2024-10-23: 説明の仕方を再度変更しました。
2024-8-8: 説明の仕方を変更しました。
2024-5-20: 第5話注記の修正に伴い、第5話も修正しました。
2024-3-18 ~ 2024-4-8: 理解し易いように説明の仕方を変えました。
2024-3-8: 数式の番号に間違いがあったので修正しました。